日本畜産学会報
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一般論文
資源循環型家畜屠体処理のプロセス構築
高橋 潤一梅津 一孝岸本 正西崎 邦夫河端 俊明小林 博史
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2003 年 74 巻 3 号 p. 389-395

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抄録

BSE感染に対して未検査の廃牛などから製造した肉骨粉を付加価値の高い炭化物とする製造方法について検討した.またリンを揮散性の物質として放散させることなく炭化して施肥効果をもたせると共に,さらに,比表面積を大きくして吸着剤としての効果を発現させるという2点を高付加価値化の条件とした.従来の嫌気性下の炭化処理では,リンは水素化物となって揮散し,また,比表面積の増加もほとんど見られなかった.そこで,炭化工程における酸化還元雰囲気を調整して,リンの揮発性化合物化を防止すると共に,酸化力が賦与された雰囲気による比表面積増加の効果を検討した.その結果,800°Cの炭化処理において,一時的に若干の空気(例えば10分間にわたり,窒素ガス対空気1 : 1の体積比)を加えて製造した炭化物は,空気を混入しないで製造したものに比べて,炭化物表面のリン濃度,および比表面積においてかなりの改善(上述の酸化雰囲気例ではリン濃度で約15%,比表面積において約50%の改善)が見られた.炭化雰囲気をモニタリングし,酸化還元性を調整することによって,吸着剤として使用でき,さらに,施肥効果を有する従来にはない複数の機能をもつ炭化物(骨炭)が製造できるものと考えられた.

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© 2003 公益社団法人 日本畜産学会
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