日本畜産学会報
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一般論文
飼料用トウモロコシ圃場におけるツキノワグマ(Ursus thibetanus)の行動および被害の実態
出口 善隆佐藤 衆介菅原 和夫
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2003 年 74 巻 3 号 p. 383-388

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抄録

2001年7月18日から9月5日まで東北大学附属農場の飼料用トウモロコシ圃場においてビデオ撮影を行いクマの侵入実態を,また圃場での倒伏本数調査より被害実態を明らかにした.調査期間中の圃場へのクマの侵入は52回観察された.調査圃場では7月22日に雌穂出穂が5割に達した.侵入期間は乳熟前期と乳熟後期に有意に偏っていた(χ2=33.2, P<0.001).侵入時間帯も00 : 00から06 : 00までと18 : 00から24 : 00までに有意に偏っていた(χ2=36.5, P<0.001).調査期間を通じてのトウモロコシの被害割合は13.8%,1日あたりの被害熱量は169,171kJ/日で,クマ6.52頭分の日摂取熱量に相当した.クマは乳熟前期から乳熟後期までのトウモロコシ圃場に強い侵入動機を示し,その時期の栄養要求のほぼすべてをトウモロコシで満たしている可能性が示唆された.

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© 2003 公益社団法人 日本畜産学会
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