日本畜産学会報
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一般論文
牛枝肉横断面に対する画像解析による部分肉歩留の推定
長谷川 未央口田 圭吾齋藤 邦彦熊谷 周一郎小西 一之撫 年浩
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2004 年 75 巻 2 号 p. 213-220

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抄録

黒毛和種とリムジン種の交雑種117頭から得られた枝肉横断面画像より,各筋肉の面積や横断面に対する筋肉の面積割合(筋肉面積比)を算出し,それら画像解析形質と枝肉の部分肉量との関連について検討した.横断面画像から,各筋肉の面積,脂肪の面積,筋肉面積比,胸最長筋の脂肪面積比および整形皮下脂肪面積を算出し,画像解析形質とした.部分肉調査では,骨量,整形脂肪量,腎周囲脂肪量およびその他除去部分の重量,さらに,リブロースなどの各パーツの肉量が計測され,これらと枝肉重量から,部分肉歩留ならびに各パーツの重量割合を算出した.部分肉歩留と,もっとも高い関連が示された画像解析形質は,筋肉面積比であり,その相関係数は0.66であった.部分肉歩留を推定する重回帰式に選択された変数は,整形皮下脂肪面積,広背筋の面積,胸最長筋の脂肪面積比,菱形筋の面積および背半棘筋の面積であり,その決定係数は0.57であった.全調査日(16日間)のうち,部分肉歩留と筋肉面積比との相関係数が0.90以上となった日(3日間)の22頭を抽出し,部分肉歩留を推定する重回帰分析をおこなったところ,その決定係数は0.92と非常に高くなった.また,この22頭について,各パーツの重量割合を推定する重回帰分析を行ったところ,リブロース以外では比較的高い決定係数(0.78∼0.82)となり,パーツの重量割合を画像情報から推定する可能性も示された.

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© 2004 公益社団法人 日本畜産学会
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