2009 年 80 巻 2 号 p. 215-222
ブタ大動脈よりエラスチンの酵素加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取が皮膚にもたらす影響について検討した.生後7週の雄ヘアレスマウスにエラスチンペプチドなどの試料を経口投与し,63日間の飼育を行った.皮膚老化モデルとして光老化モデルを採用し,週3回の頻度で紫外線を照射した.照射52日目および55日目にエラスチンペプチドとコラーゲンペプチドを混合投与した群およびコラーゲンペプチド投与群において,皮膚水分量が照射対照群に比べて有意に上昇し,エラスチンペプチドの単独投与群において上昇傾向が認められた.エラスチンペプチドやコラーゲンペプチドの単独投与に比べ,皮膚中の存在比やそれに近い比での混合投与による相乗効果が得られ,光老化に対する皮膚症状の改善が認められた.つまり,エラスチンペプチドがコラーゲンペプチドの摂取による皮膚水分量の上昇効果を増強することが示唆された.