抄録
黒毛和種肥育牛の枝肉形質を診断するバイオマーカータンパク質同定を目的に構築した統合情報管理システムに,腎周囲白色脂肪組織のプロテオーム解析情報を搭載し,タンパク質発現に及ぼす性差と血統の影響を調べた.システム内の枝肉形質情報データベースには,黒毛和種肥育牛 10,789 頭の個体情報,血統情報,および枝肉形質情報が登録されている.このうち 252頭を選択して腎周囲白色脂肪組織のプロテオーム解析情報を獲得し,同システム内に登録した.まず,去勢牛と雌牛群間でタンパク質発現量を比較したところ,タンパク質スポット 879個のうち 56個(6.4%)でその発現量に性差が認められた.次に,種雄牛 4頭を一代祖に持つ去勢牛の個体群間でタンパク質発現量を比較した結果,発現量に差が見られたタンパク質スポットの割合は低く,プロテオーム解析情報を検討する場合に種雄牛の遺伝的背景を必ずしも考慮する必要はないと判断された.