2013 年 84 巻 1 号 p. 1-10
牛群管理の指標として,環境要因を補正した標準乳量の算出モデルを検討した.2007年∼2009年のホルスタイン種の検定日記録13,119,566件を解析に用いた.標準乳量算出の基準点を,北海道の5月分娩における2産目の分娩後120日目とした.泌乳曲線モデルから算出した期待乳量および期待標準偏差を用いて,検定日乳量を基準点の乳量に補正したものを標準乳量とした.泌乳曲線モデルとして6次のLegendre多項式(L6),および3次から6次までのLegendre多項式とWilminkモデルを組み合わせたモデル式(L3W, L4W, L5W, L6W)の5つを比較した.期待乳量および期待標準偏差のいずれにおいても,L5WおよびL6WのAIC,BICおよび標準誤差が他のモデルよりも小さく,最も適切なモデルと考えられた.標準乳量は農家ごとの平均値を中心として±2.37 kgの範囲に,その90%が含まれることが期待できることから,この値を牛群管理の変化を考えるときの一つの基準にできる.