日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
一般論文(原著)
乳量および乳成分率への環境の影響と泌乳曲線による環境要因の補正
佐々木 修相原 光夫西浦 明子武田 尚人佐藤 正寛
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 86 巻 1 号 p. 13-27

詳細
抄録

乳量,乳脂率,乳タンパク質率,および乳脂率の乳タンパク質率に対する比(FPR)への産次,分娩月,地域の影響と泌乳曲線の形の違い,および泌乳曲線を用いた,これら環境要因の補正について検討した.家畜改良事業団に集積されたホルスタイン種雌牛の2008〜2010年の検定日記録13,364,965件を用いた.産次を4グループ,分娩月を12グループ,全国の地域を4グループに分けた.5次のLegendre多項式とWilmink式を組合せた泌乳曲線を用いて,環境の効果を補正した標準成績を求めた.すべての形質の泌乳曲線の形は,産次,分娩月,地域の組合せによって違いがあった.ただし,乳量では,産次と地域の組合せには違いがなかった.標準成績は2010年の夏期に大きく低下し,例年より暑熱の影響が強く,エネルギー摂取量より粗飼料摂取量の回復が遅れた可能性が示唆された.乳成分の標準成績により,飼養管理において多面的な情報提供が可能となる.

著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top