2015 年 86 巻 1 号 p. 13-27
乳量,乳脂率,乳タンパク質率,および乳脂率の乳タンパク質率に対する比(FPR)への産次,分娩月,地域の影響と泌乳曲線の形の違い,および泌乳曲線を用いた,これら環境要因の補正について検討した.家畜改良事業団に集積されたホルスタイン種雌牛の2008〜2010年の検定日記録13,364,965件を用いた.産次を4グループ,分娩月を12グループ,全国の地域を4グループに分けた.5次のLegendre多項式とWilmink式を組合せた泌乳曲線を用いて,環境の効果を補正した標準成績を求めた.すべての形質の泌乳曲線の形は,産次,分娩月,地域の組合せによって違いがあった.ただし,乳量では,産次と地域の組合せには違いがなかった.標準成績は2010年の夏期に大きく低下し,例年より暑熱の影響が強く,エネルギー摂取量より粗飼料摂取量の回復が遅れた可能性が示唆された.乳成分の標準成績により,飼養管理において多面的な情報提供が可能となる.