抄録
本研究の目的は,3産次までの検定日体細胞スコアにおける乳期内の相加的遺伝分散の変動を調査し,遺伝評価に最適な検定日モデルを検討することおよび305日換算の遺伝率を推定することである.分散成分は,各泌乳ステージを別形質とした産次ごとの多形質分析と分娩後305日までの記録を用いた変量回帰分析より推定した.モデル選択の指標には,305日平均評価値間の相関,偏りおよび平均平方誤差を用いた.相加的遺伝分散は,多形質分析の共分散行列を固有値分解した結果,最大でも1次のLegendre多項式(LP)で説明が可能であった.一方,永続的環境分散は,変量回帰分析の結果,より高次の多項式の当てはめが必要であった.最終的に遺伝評価モデルは,相加的遺伝効果を反復モデルとし永続的環境効果に3次のLPを当てはめるのが実用上最適であると考えられた.305日換算の遺伝率は,初産,2産および3産でそれぞれ0.18,0.19および0.20であった.