飼料用イネの給与技術を確立するため，飼料イネサイレージ給与時における反芻家畜の消化機能および栄養素代謝を明らかにしようとした．実験にはヒツジ4頭を用いた．乾草と濃厚飼料（乾物重量比7：3）を維持代謝エネルギーの120%を給与する乾草区，乾草をそれぞれ穀粒型，茎葉型飼料イネサイレージで代替した穀粒区，茎葉区を設定した．窒素（N）出納，消化管内飼料滞留時間，第一胃内発酵性状，微生物態N供給量（MNS），血漿グルコース，ロイシン代謝を測定した．濃厚飼料の第一胃内通過速度は穀粒区が乾草区よりも高く（P<0.05），茎葉区は乾草区よりも低かった（P<0.05）．MNS,血漿グルコース，ロイシン代謝回転速度は飼料区間に差がなかった．以上のことから，穀粒型，茎葉型ともに飼料イネサイレージの給与は濃厚飼料の第一胃内通過速度などに影響を与えるが，ヒツジの栄養素代謝は乾草給与時と同等であることが示唆された．
