2015 年 86 巻 4 号 p. 481-489
発色剤無添加乾塩漬食肉製品の主要色素である亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)について,低亜鉛飼料(5ppm亜鉛)における亜鉛の生物学的利用能を検討した.肝由来ZnPP(5L)区ならびに試薬ZnPP(5R)区の体重増加率は,ZnSO4(5S)区よりも有意に低く,Zn欠乏(ZD)区と同程度であった.肝臓,胸腺,骨格筋および毛では,群間で亜鉛含量に差はみられなかった.一方,血清,精巣,腎臓,骨および皮では,5L区と5R区との間で亜鉛含量に差はなかったが,5S区よりも同程度あるいは有意に低かった.また,5L区と5R区の血清アルカリホスファターゼ活性は,5S区よりも有意に低く,ZD区と同程度であった.血清および組織のマンガン含量は,5L区と5R区との間に有意差がみられたが,他のミネラル含量ではほとんど影響を受けなかった.以上のことから,ZnPPは無機亜鉛よりも生物学的利用能は低いのかもしれない.