本研究の目的は,システム分析を用いて,褐毛和種周年放牧肥育生産と慣行の舎飼い肥育生産を発育,飼料利用性,経済性および環境負荷の視点から総合的に比較することであった.本研究では,暖地無積雪地域での暖地型,高標高の草資源を利用する高標高型および暖地型永年牧草による亜熱帯型を想定し,さらに高標高型では補助飼料に配合飼料を用いる高標高A型と配合飼料の67%を飼料用米で代用する高標高B型の計4生産システムを想定した.シミュレーションの結果,舎飼い肥育生産と比べて,いずれの放牧肥育生産も発育と飼料利用効率は低かったが,補助飼料のみの飼料利用効率で比較すると放牧肥育生産はいずれも高かった.舎飼い肥育生産は経済的に優れていたが,消費者が45%の付加価値を付けて放牧牛肉を購買する場合,放牧肥育生産の方が優っていた.また,放牧肥育生産はメタン発生が多く,窒素の排泄量も多かったが,飼料用米を利用する高標高B型では窒素排泄量が低かった.