日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
一般論文(原著)
国内のホルスタイン集団における胚死滅および子牛致死をもたらす遺伝的不良形質のキャリア頻度
馬場 俊見後藤 裕作山口 諭中川 智史阿部 隼人増田 豊河原 孝吉
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 89 巻 2 号 p. 163-169

詳細
抄録

43,053頭のSNPデータを利用し,胚死滅を起こす5つの遺伝的不良形質(HH1,HH2,HH3,HH4,HH5)および子牛致死性の牛コレステロール代謝異常症(HCD)のキャリア頻度をハプロタイプで推定した.さらに,HH1からHH5では,授精種雄牛と本牛の父牛の遺伝子型の相互作用の母数効果を含む分散分析を実施し,受胎率への影響を調査した.HH1のキャリア頻度は減少傾向にあるが,近年でも4%程度あり,HH2およびHH4より高く推移した.HH3の近年のキャリア頻度は雌牛でわずかに増加,HH5では3%から4%の水準で横ばい傾向にあった.HCDのキャリア頻度は,2012年以降減少傾向にあった.受胎率に対しキャリア同士の交配は,HH1で有意な負の効果,HH2からHH4で負の傾向が確認された.本結果は,HH1からHH5のモニタリング調査を実施し,キャリア同士の交配を避けるよう努めるべきことを示唆した.

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本畜産学会
次の記事
feedback
Top