2018 年 89 巻 2 号 p. 181-190
形状の異なる飼料用玄米の給与が,乳用育成雌牛(ホルスタイン種,6~8ヵ月齢)の日増体量(DG),消化率,および第一胃内発酵に及ぼす影響を検討した.DG0.90kgの可消化養分総量(TDN)要求量の40%を濃厚飼料とし,濃厚飼料の42%を圧ぺんトウモロコシに置き換えた対照区(10頭),未処理の玄米とした全粒区(11頭),および破砕した玄米とした破砕区(11頭)の3区を設定した.粗飼料はチモシー乾草を制限給餌した.全粒区の試験終了時体重,試験期間中のDG,および飼料効率は他の2区に比べて低くなった(P < 0.05).消化試験では,全粒区の乾物およびデンプン消化率が対照区よりも減少した(P < 0.05)が,破砕区は両者とも対照区と同等であった.以上より,乳用育成牛への飼料用玄米給与は,未処理では消化性が低いため発育が停滞するが,破砕処理により発育成績および消化性は圧ぺんトウモロコシと遜色が無かった.よって,破砕玄米は圧ぺんトウモロコシと置き換え可能な飼料素材であることが示された.