2020 年 91 巻 2 号 p. 127-130
鹿挽肉に添加したNaCl含量の違いが鹿肉ソーセージの保水性およびテクスチャー特性に及ぼす影響について検討した.野生ホンシュウジカ(n=16)の胸最長筋から挽肉を調製し,NaClの添加量が異なる0%区,1%区,2%区,および3%区に分け,鹿肉ソーセージを調製し,保水性およびテクスチャー特性を測定した.0%区のクッキングロスは他区のものに比較して有意に高かった.凝集性および付着性には試験区間での有意な差はなかった.また,ガム性荷重は2%区と3%区が0%区に比較して有意に高く,3%区が1%区に比較して有意に高かった.2%区および3%区のガム性荷重およびすべての試験区の凝集性および付着性は,口内でばらけにくいと評価される値であった.保水性が高く,口内でばらけにくい鹿肉ソーセージを製造するためには,鹿挽肉に少なくとも2%のNaClを添加する必要があることが示唆された.