最近の家畜生産は環境負荷を低減させつつ,経済的に成り立つ経営が求められている.このような問題を検討するには,環境負荷の低減策を実施した場合の経済性についてあらかじめ検討することは重要である.そこで本研究では,①1頭当たりの環境負荷に対する利益の限界削減コストと②畜産物1 kg当たりの限界削減コストおよび③農家レベルでの環境負荷制約下での飼養頭数の減少を考慮した環境負荷低減法に関する経済評価法について先行研究の数値例を用いてその妥当性と意味付けを検討した.本研究は,経済性と環境負荷の両方を考慮する持続可能な家畜生産のための簡単な理論的なフレームワークを構築するものと考えられた.最後に,家畜生産に対する環境負荷低減のための施策について検討した.