2021 年 92 巻 4 号 p. 493-502
本研究では,酪農生産システムと乳肉統合生産システムに対して,シミュレーションモデルを用いて,通常精液(非選別精液)を用いた基準シナリオと雌性性選別精液(①~④)を用いた代替シナリオを比較した.代替シナリオでは雌性性選別精液について①,②,③は性選別の正確性が90%で①,②,④は雌牛の30%の頭数に使用するとし,②では受胎率が通常精液と同様,③では未経産牛のみに使用,④では性選別が完全で受胎率が通常精液と同様と想定した.評価指標は利益と経済効率,家畜からのメタンまたは窒素排出量あたりの利益を採用した.④では両生産システムで最も利益および経済効率が高くなった.③の経済効率は②と同程度であり,これは未経産牛のみへの授精で受胎率が減少しなかったからと考えられた.評価指標は両生産システムともに④で最も高い値を示した.本研究により,性選別技術の導入は受胎率と性選別の正確性の改善により収益性が増加することが示唆された.