2024 年 95 巻 3 号 p. 201-209
分娩前3週間の未経産乳牛23頭のルーメンフィルスコア(RFS),ルーメンボリューム(RV),ルーメンコンテンツ(RC)を給餌前後に評価し,難産や分娩後の疾病発生との関係を調査した.安産牛(分娩難易度1;8頭)は難産牛(同3以上;13頭)よりも分娩0.5週前の給餌前RVと2.0週前の給餌後RFSが高かった(P<0.05).ケトーシスや子宮疾患の罹患牛(各6頭,併発牛4頭)は健常牛(15頭)よりも給餌前RFS(分娩2.0週から0.5週前)とRC(分娩2.0週,1.0週前)が低く,給餌前後のRVは分娩1.0週,0.5週前で低かった(P<0.05).また罹患牛の給餌前RFSは3.0以下だった.よって,分娩前3週間に難産牛は給餌後RFSと給餌前RVの低下,疾病発生牛は給餌前RFSとRC,給餌前後RVの低下から予測可能であり,これらの評価法は難産や分娩後の疾病発生の予防に役立つことが示された.