2025 年 96 巻 2 号 p. 127-135
ホルスタイン種牛の代謝に関する指標形質として乳中β-ヒドロキシ酪酸および由来別脂肪酸組成に着目し,泌乳初期の指標形質と生産(305日乳量,乳脂量およびタンパク質量),繁殖(初回授精日数,空胎日数,初回授精受胎率),健康(乳期内の最大体細胞数)および長命性(生存能力,在群性)形質間の表型および遺伝的関連を調査した.生産形質等を従属変数,指標形質クラスを説明変数とする最小二乗分析から,指標形質の改善に伴い生産形質は減退しそれ以外の形質は向上する傾向にあった.多形質モデルによる遺伝分析から,指標形質の遺伝率は概ね0.2から0.3の範囲と推定された.推定された遺伝相関から,指標形質に対する選抜は生産形質に好ましくない相関反応,繁殖および健康形質に好ましい相関反応をもたらすと示唆された.指標形質による選抜は可能であるが,実用上は生産形質との拮抗関係も考慮する必要がある.