日本畜産学会報
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鷄の傳染性喉頭氣管炎に對する緊急豫防接種の實際的意義
中村 哲哉秋山 定勝
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1937 年 10 巻 3-4 号 p. 329-335

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抄録

1. 本病の偶發に際しては其の同群鷄若は之に密接なる聯絡ありたる鷄群に限局して病鷄より採集し得る新鮮病毒を50%グリスリン食鹽水を以て10倍に稀釋し緊急豫防接種の目的を以て之が排泄腔粘膜への接觸を例外なく速に施すを可とすべし。
2. 緊急豫防接種を受けたる個體に就ては2週日を經過すれば病毒傳播の危險なきが如きも其の移動に關しては6-12ヶ月間の禁止を爲すを安全とす。
3. 緊急豫防接種を受けたる個體の免疫持續期間の推定は困難なるも排泄腔粘膜に於ける病毒接觸に招來する炎症消退後血中に證明せらるゝ抗病毒物質の實在期間と該處置鷄に直接病毒を氣道内注入せるものゝ示す不感期間とを對比して判斷すれば緊急接種の有效期間は大約最長6ヶ月内外と推定し得べし。
4. 緊急豫防接種による免疫持續期間は病毒の排泄腔粘膜處置を受くる個體の孵化後の日數により異り孵化後13-20週經過の若鷄に於て最も長きが如し。
5. 本病發生鷄群に無關係なる鷄群に對しては絶對に緊急豫防接種の手段を避け他より帶毒鷄の搬入なき樣防疫手段の徹底を期するを安全と認む。

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