日本畜産学会報
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白鼠の未受精卵子の分割について
石橋 功
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1959 年 30 巻 4 号 p. 212-218

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抄録

生後3.5ヵ月以上で体重160~224gのWistar系処女ラツトを,人工昼夜ならびに自然昼夜の条件下において,排卵前2時間より,排卵後87時間に至る種々の時間に屠殺して,卵巣内および卵管内卵子を採取し,解部顕微鏡および位相差顕微鏡を用いて,採取した596個の卵子の分割ならびに極体の有無について観察を行なつた.その結果は次の通りである.
1) 排卵前2時間より排卵後17時間に至るまでの卵子は,すべて1細胞で,分割は行なわれていない.
2) 排卵後26~27時間では,74個中12個(16%)が2~4細胞期にあり,排卵後38~39時間では,81個中64個(79%)が分割して2~14細胞期1こあり,排卵後50~51時間では,86個中82個(95%)が分割して種々の細胞期にあり,そのうち5個は桑実期にあつた.
3) 排卵後62~63時間に至れば,早いものでは子宮内で見いだされる卵子があり,排卵後74時間から87時間に至れば,ほとんどの卵子が子宮内で発見される.これらの卵子合計105個はすべて分割し,桑実期までの各種の段階にあるが,透明帯は,観察したすべての卵子に付着していた.
4) これら未受精卵子の分割は,fragmentationだけでなく,segmentationの場合もあると考えられる.しかしながらその詳細は,今後の研究を待つて明らかにしたい.
5) 排卵前2時間より排卵後51時間に至る各種の時期の1細胞期にある卵子333個について極体の有無をしらべたところ,303個(91%)は極体を有し,そのうち9個(2,7%)は2個の極体をもつていた.排卵前の極体と排卵後の極体は,形態的に異なつていたが,後者が,ODERの称するように,前者のfragmentationの結果生じたものであるか否かに関しては,さらに研究を要するものと考えられる.

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