日本畜産学会報
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神経分泌と前葉細胞
VI.家兎における視床下部-下垂体後葉神経分泌系の発達と前葉細胞の分化との関連
中原 達雄
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1963 年 33 巻 6 号 p. 452-460

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抄録

家兎の胎児で,視床下部-下垂体後葉神経分泌系およびこれを囲む腺性下垂体の輪郭ができあがるのは,交尾後20日目である.神経分泌顆粒は,視索上核および脳室旁核の細胞には,交尾後20日目に,後葉には25日目に,始めて現われる.これらの顆粒は,その後,時日の経過につれて,次第に増加するが,生後10日目でも,成体と比較すると著しく少ない.生後15日以後では,成体とほとんど変わりがない.視床下部下垂体路に,顆粒がはつきり認められるようになるのは,生後である.胎児および新生児の神経分泌細胞分泌の様式は,主として核分泌である.
前葉細胞の分化は,神経分泌の開始よりやや遅れる.交尾後28日目にPASに陽性の塩基好性細胞が,30日目に同じく酸好性細胞が,それぞれ後葉および視床下部下垂体路に近い腺体の背部およびZona tuberalisに出現する.前葉細胞に著しい肥大や増数がみられるのは,生後10日目以後である.この時期は,後葉に神経分泌物の増加が始まる時期と一致する.
以上の結果から,全葉細胞の分化および発達と神経分泌物との間には,密接な関係があるものと考えられる.

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