日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
オキシテトラサイクリン添加飼料による育雛に及ぼすテレフタル酸の効果について
加藤 久弥村上 敏明小野 勝彦菊池 宏美熊谷 貞雄松尾 明延蓮本 洋
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 33 巻 6 号 p. 447-451

詳細
抄録

ロードアイランド•レッド種の雄初生ヒナを,3群にわけ,それぞれ基礎飼料のみ(BD区),それにTM 10を500g/1,000kgに加えたもの(TM区),この添加飼料にさらにテレフタル酸を0.5%加えたもの(TPA区)で飼育し,体重増加率および血中の抗生物質濃度を比較した.ただしTM 10はオキシテトラサイクリンを10.2g/500g力価ふくんでいる.またTPA区では,テレフタル酸二ナトリウムを用いた.
1. 体重増加率:第1週目の平均体重が86.1g (BD区),83.4g (TM区),84.6g (TPA区)の各区35羽は,第4週目にそれぞれ312.8,363.4および379.3%の体重増加率を示した.また,このうち,第1週目の平均体重が85.0g (BD区およびTM区)および85.1g(TPA区)の各区10羽ずつについて,さらに第7週目まで計測したところ,体重の増加率は,それぞ722.1,806.0および862.5%であつた.
2. 血中オキシテトラサイクリン濃度:TM 10を500g/1.000kg(TM区),およびこれにテレフタル酸を0.5%加えたもの(TPA区)を,それぞれ朝1回に1日量を飼料とともに与え,2および3時間ごとに血中の抗生物質濃度を測定した.その結果,両区とも,3時間目に最高濃度に達し,TM区では,4-6時間で0.075μg/ml以下に低下したが,TPA区では,最高値がTM区の2倍にのぼりしかも12時間目でも約0.1μg/mlの濃度を維持していた.TM 10を倍量投与した場合は,最高濃度は,両区ともさらに上昇したが,持続時間は,前実験と同様TM区では短かかつたが,TPA区では12時間以上も相当に高い濃度を持続していた.
以上の結果から,オキシテトラサイクリン添加飼料にテレフタル酸0.5%を添加して飼育すると,ヒナの体重増加が促進されるばかりでなく,血中の抗生物質の濃度が高められ,かつそれが長時間持続するという効果が,あることが,顕著に認められた.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top