1970 年 41 巻 10 号 p. 501-506
血液型および血清蛋白質型を用いて,日本のYork-shire, Landrace, Berkshire各品種における親子鑑別を行なった場合の各システムの理論的な有効性について検討を加えた.
1) 父権否定の確率式を対立遺伝子5つまでの場合について求め,その一般式を導いた.さらに,豚の各血液型システムに適合した確率修正式を求めた.
2) Y, L, B種の血液型と血清蛋白質型の遺伝子頻度血液型による豚の親子鑑別を,対応する父権否定の確率式に代入することにより,各品種内での親子鑑別におけるそれらの遺伝子の有効性を検討した.その結果,遺伝子座の比較ではHp, Pa型,E, H, Kシステムが各々の品種においてかなり高い父権否定の確率を示した.また,12遺伝子座を組合せて用いた場合にはY種で83.2%,L種で88.6%,B種で72.7%の父権否定の確率すなわち親子判定の解決率が得られた.