日本畜産学会報
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豚における出生後の肢骨骨化点出現のX線学的研究
新山 雅美籠田 勝基糟谷 泰
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1970 年 41 巻 4 号 p. 182-189

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抄録

発育,特に成熟程度の指標を得る目的で,正常発育をしている出生時から13週令までの子豚について,肢の骨化点の出現状況をX線写真撮影法によって調査した.出生後出現する骨化点の種類,数,出現時期,出現順序を明らかにし,ヨークシャー,ランドレース両品種間の差と性による差を検討した.結果は次のとおりである.
1) 第一手根骨を除く骨化点は,13週令までに出現し,大腿骨大転子と小転子の骨化点はX線写真では判定が困難であるが,薄切標本によって,それぞれ1週令および13週令には骨化を認めた.
2) 出生時ランドレースの骨化は,ヨークシャーよりも進んでおり,生後においても早い傾向があった.しかし種子骨では大差がなく,副手根骨ではヨークシャーに遅れた.
3) 同一品種では,雌が雄よりも骨化点の出現の早い傾向があった.
4) 骨化点出現順序は,手足の骨端骨化点と種子骨にあっては第三,四列が第二,五列よりも早く,また相同の骨端骨化点では,前肢が後肢よりも早い傾向があった。
5) ヨークシャーでは副手根骨が膝部の3骨化点よりも,第二,五指(趾)列基節骨種子骨が中足種子骨より,末節骨種子骨が第三,四列基節骨種子骨よりも,それぞれ早く出現するが,ランドレースでは各順序が逆転する傾向があった.

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