日本畜産学会報
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乳酸菌バクテリオファージに関する研究
I. Str. faecalisファージの分離とその溶菌性について
佐藤 泰申 七郎
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1970 年 41 巻 4 号 p. 190-196

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抄録

醗酵乳製品製造工程における乳酸醗酵異常の原因の一つである乳酸菌ファージの溶菌性に関する基礎的知見を得ることを目的とし,下水よりStr. faecalis IAM 1262を宿主とするStr. faecalisファージを分離した.このファージを1と名づけ,その溶菌性に関する諸性質を検討し次の結果を得た.
1) 1の形態は,オタマジャクシ状でその頭部の大きさは,約730A×約740A,その尾部の長さと幅は,約2970Aと約150Aである.
2) 1の宿主域は,狭いものと考えられる.
3) 1の溶菌曲線より感染重度を増すことにより,1の溶菌時間は短くなる.
4) 1は,70°C,35分間,80°C,10分間および90°C5分間加熱でそれぞれ完全に失活する.
5) 1の増殖はpH4.5以下の培地中では阻害される.
6) 1の宿主Str. faecalis IAM 1262に対する吸着率は,吸着時間30分間で約80%である.1の宿主に対する吸着率は,pH6.0および4.0に調整した培地中ではほぼ同じである.

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