1971 年 42 巻 5 号 p. 210-215
北海道虻田郡倶知安町の瑞穂共同養豚場で発生した,豚の飼料中毒の原因を調査して,次の結果を得た.
1. 死亡した豚に給与したマッシュド•ポテトフレークを,微生物学的に調査し,この飼料中毒が,飼料中に多量に発生していた,かびに起因するものであると推定した.
2. 中毒をひきおこした飼料中に発生していたかびを,分類学的に研究し,次の7種分類同定した.
Neurospora tetrasperma, Geotrichum candidum, Aspergillus fumigatus, A. flavus, A. terreus, Penicillium roqueforti, P. expansum.
3. 上記7種の中では,A. fumigatus, A. flavusおよびP. roquefortiの繁殖が著しく,これら3種は,いずれも毒素生成菌として報告されていることから,今回の飼料中毒も,これらのかびが主因をなしたものと考える.