日本畜産学会報
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家畜の血漿中サイロキシンの定量法
II. 血漿中サイロキシン抽出法の検討
石井 忠雄田名部 雄一玉置 禎紀正田 陽一
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1971 年 42 巻 5 号 p. 216-223

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抄録

ラジオステレオアッセイ法による家畜の血漿中サイロキシン測定を行なうため,抽出条件の検討を行ない次の結論を得た.
1) 血漿中サイロキシンの抽出溶媒としては,アルコールとケトンの類が優れているが,なかでも蛋白凝固力,蒸発除去の難易などを考慮すると血漿の2-3倍量のエタノール使用が最適である.
2) 血漿に2倍量のエタノールを加えてサイロキシンを抽出した場合,抽出液にサイロキシン結合能を有する血漿蛋白質が混入した.この混入蛋白質が血漿中サイロキシン測定値を負にする主因と考えられる.
3) 抽出液中の混入蛋白質は,抽出液を乾固後エタノールで再抽出する方法でほとんど除去され,サイロキシン結合能も失なわれる.すなわち,再抽出法によって蛋白質混入による血漿中サイロキシン測定値の低下は防止される.
4) 抽出液の蒸発乾固によってはサイロキシンの散逸は起こらない.

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