日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
近交系マウスの正常血清中に含まれる抗-ニワトリ血球凝集素
印牧 美佐生
著者情報
ジャーナル フリー

1971 年 42 巻 5 号 p. 224-231

詳細
抄録

マウスの正常血清中に含まれる抗-ニワトリ血球凝集素について,抗原として用いるニワトリ血球の種類,およびマウスの月令,性のちがいについて考慮し,その出現頻度の差によって7系統のマウス(KK, NC, C57BL/6, DDK, BS, AIIIおよびAY)の分類を試み,以下の成績を得た.
1. 近交系マウスの正常血清中に,3系統のニワトリ(ナゴヤA系,ナゴヤB系,黒色ミノルカC系)の血球に対する,それぞれ質的に異なる,抗-ニワトリ血球凝集素(A, BおよびC血球凝集素)が見出された.これらの凝集素は一定の段階性をもって発現する.すなわち,A血球凝集素は単独で発現するが,B血球凝集素はA,そしてC血球凝集素はAおよびB各血球凝集素が存在しなにければ発現しない.
2. 同一系統内の各凝集素の出現頻度は,主としてマウスの月令のちがいによって影響された.性のちがいは大きな影響をもたなかった.1ヵ月令のマウスにおいては,凝集素の出現頻度に著しい系統差は認められなかったが,月令の増加に伴い系統差は顕著になった.6系統のマウスでは,月令の増加に伴い各凝集素の出現頻度は増加する傾向にあったが,AY系ではその逆の現象が現われた.
3. 3ヵ月令以上のマウスについて,各凝集素の出現頻度の有意差の有無によって,マウスの系統を以下の如く4グループに分けることができた.(1) A, BおよびC血球凝集素を高頻度に有する系統:KK, NC. (2) AおよびB血球凝集素を高頻度に有する系統:C57BL/6, DDK,BS. (3) A血球凝集素を高頻度に有する系統:AIII. (4)すべての凝集素をほとんどもたぬ系統:AY.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top