日本畜産学会報
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牧草の反芻胃内消化と中性デタージェント繊維測定法に関する組織化学的検討
川村 修千秋 達道堀口 雅昭松本 達郎
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1975 年 46 巻 1 号 p. 6-10

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抄録

アルファルファ,オーチャードグラスおよびトールフェスクの細胞内容物と細胞壁物質の草体内分布,ならびにそれらの反芻胃内消化の様相とVAN SOESTによる中性デタージェント処理の影響を組織化学的に調べた.1) 細胞内容物を含む組織(葉肉,皮層など)の細胞壁はリグニン化しておらず,これらの組織の細胞内容物と細胞壁は反芻胃内で速やかに分解した.細胞内容物を含まない組織のうち,リグニン化組織(原生篩部繊維,二次木部など)は分解し難く,リグニン化していない組織のうち髄は容易に分解したが,表皮と厚角組織は分解し難かった.リグニン化組織に取り囲まれたイネ科牧草管束部位の篩部は分解が遅れた.これらの結果は,反芻胃内における牧草の消化性が,組織のリグニン化や各組織の立体配置などの植物組織構造の差異に影響されることを示唆している.2) 中性デタージェント処理はマメ科牧草の細胞内容物を大部分除去したが,イネ科牧草の場合は除去効果が劣った.いずれの場合も,細胞壁の多糖類とリグニンの大部分は処理残渣にとどまった.

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