日本畜産学会報
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分房乳のNa,Cl濃度の増加に伴う牛乳中の血清アルブミンおよび免疫グロブリン濃度の変化について
大島 正尚甫立 孝一
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1975 年 46 巻 2 号 p. 81-86

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抄録

分房乳のNa+Cl値の分房間差値[Qd(Na+Cl)mEq/l]によって,正常でないと判定された分房乳計30試料[Qd(Na+Cl)<50mEq/l]について,Qd(Na+Cl)値の増加に対する血清アルブミン(BSA)と免疫グロブリン(IgG)濃度の変化を検討した.その結果,血漿蛋白質の分房間差値,Qd(BSA)およびQd(IgG)mg/dlは,Qd(Na+Cl)値の増加に対して指数曲線的に増加し,障害の程度が比較的小さい段階[Qd(Na+Cl)<30mEq/l]では,Qd(Na+Cl)値の増加とほぼ比例して増加するが,Qd(Na+Cl)値が高くなるとそれらは急激な増加を示した.またQd(Na+Cl)値の増加に伴い乳試料中で増加する血漿蛋白質の中で,BSAが占める割合が増加する傾向が認められた.しかしQd(Na+Cl)<50mEq/lの範囲では,乳試料中のIgGの増加量は,BSAのそれの2倍以上であった.これらのことから,乳腺の血漿蛋白質に対する透過性の変化につき論議した.Qd(Na+Cl)<50mEq/lの範囲では牛乳総蛋白質中で血漿蛋白質が占める割合は,およそ10%以内と推定された.

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