日本畜産学会報
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アンモニア処理による稲わらともみ殼の栄養価の改善
伊藤 宏寺島 福秋唐来 宣人松井 行夫
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1975 年 46 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

反芻家畜に対する粗飼料としての稲わらおよびもみ殼の栄養価を改善するために,両者をアンモニア(10%重量比)および水(30%重量比)で長期間(12か月),環境温度で処理をした.粗蛋白質含量は両者共アンモニア処理によって約3倍に増加した.増加したNの大部分は非蛋白態Nで占められた.蛋白態Nとして測定されたNの増加分は,各繊維性物質中のN含量から主としてリグニン化N化合物として存在するものと推定された.繊維性物質のうち細胞壁構成成分(NDF)だけがアンモニア処理稲わら(ARS)において約11%,アンモニア処理もみ殼(ARH)において約6%減少し,NDFの一部がアンモニア処理によってND可溶性に変化したことを示した.ADFおよびセルロース含量は処理によって影響されず,リグニン含量は増加した.48時間培養によるARSおよびARHのin vitro乾物消失率はそれぞれ約51%および23%を示し,アンモニア処理によっていずれも約10%増加した.ルーメン液で培養した後の上澄液の全VFA濃度もアンモニア処理した基質において増加した.この様な種々の利点があるので,わら類や殼類の飼料価値を高めるためにアンモニア処理をすることは積極的に考える価値のあることと思われる.

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