日本畜産学会報
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ヒナにおけるD-およびL-フェニルアラニン-1-14Cの分解ととりこみ
石橋 晃亀高 正夫
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1975 年 46 巻 2 号 p. 94-100

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抄録

ニワトリについてPheの代謝を研究していく上で,標識位置の異なるDL-Pheを用いるに際して,D-およびL-Pheの代謝上の相違を明らかにしておく必要から,5および20%カゼイン飼料給与時のヒナにD-またはL-Phe-1-14Cを注射し,呼気CO2,総排泄物および組織蛋白質からの14Cの回収率を調べた.20%区のヒナの成長は,ほぼ正常に近かったが,5%区では,体重を十分維持し得なかった.5%区では,呼気CO2,総排泄物および小腸と腎臓とを除く組織蛋白質からの14Cの回収率にはD型とL型の間に有意の差はなかった.20%区では,D型を注射した場合には,総排泄物からの14Cの回収率がL型を注射した場合に比較して高かった.これは主としてフェニルピルビン酸画分での増加によるものであった.逆に呼気CO2からの回収率はL型を注射した場合の方が高かった.小腸と腎臓を除く組織蛋白質へのとりこみ量はD型とL型の間に差が認められなかった.組織蛋白質中の放射能の大部分はPheとTyr画分とから回収された.両飼料区とも,腎臓および小腸からの14Cの回収率はD型の場合に高かった.

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