日本畜産学会報
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液体窒素(-196°C)に凍結されたマウスの8細胞卵および桑実胚の生存性に影響をおよぼす要因
宮本 元石橋 武彦
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1976 年 47 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
凍害保護物質,冷却速度および融解速度などの要因が,凍結融解されたマウスの8細胞卵と桑実胚の生存性におよぼす影響について検討し,つぎの成績をえた.1. ブドウ糖,ショ糖およびPolyvinylpyrrolidoneは凍結マウス胚の生存性維持に効果がなく,グリセリンおよびdimethylsulfoxide(DMSO)は有効であった.とくに1.2MのDMSOの存在下でもっとも高い生存率がえられた.2. マウス胚は0.2~0.5°C/分の速度で冷却されたときに良好な生存性がえられ,2および10°C/分で冷却されると生存できなかった.3. マウス胚は,2および15°C/分で融解されると生存性を維持できるが,180°C/分で融解されると死滅した.4.40~45週令の雌マウスから採取された胚は,8~10週令のものと凍結•融解後に同じ程度の生存性を維持できた.この場合,自然排卵卵子と過排卵卵子の間には,生存率に差はなかった.5.凍結•融解後におけるマウスの8細胞卵および桑実胚の生存性に差はみられなかった.6.凍結•融解された8細胞卵を胚盤胞まで培養し,それらを5匹の宿主の子宮に8個ずつ移植すると,そのうち2匹が妊娠した.妊娠18日目の検査において,それぞれ3匹と4匹の正常な胎児がえられた.
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