1974年公表された日本飼養標準によって飼料粗効率指数を再検討した.採食量を測定し算出した東大牧場でのホルスタイン種牛群の3産平均記録からのエネルギー粗効率(GEE)との相関が高いことならびに誤差率が低いことからFCM/A[=FCM×100/2(7W+FCM)]が指数として適することをまず確かめた.
ついで小岩井農場ホルスタイン種牛群の1951~1973年にわたる201頭の3産平均記録を用い,体重(W),体高(H),305日2回搾乳総乳量(M),平均乳脂率(F),FCM量,FCM/W,FCM/Aを求めこれらの遺伝母数を算出した.主な成績を要約すると次のごとくである.(1)総平均での主な形質値は,W600kg, H140.9cm, M5611kg, 3.47%,FCM5172kg,FCM/W8.7,FCM/A27.8%であった.(2)1964年から65年の間に体格に差はないが,乳量,乳脂率,とくに効率指数が上昇しており,その前後はほぼ平衡状態であった.この上昇は主に種雄によると思われる.(3)半姉妹間の表型似通いの程度と母娘相関および回帰から各形質の遺伝率を推定したが,遺伝率は3産平均を用いたためかなり高く,例えばF,FCMは共に0.7,FCM/W, FCM/Aは共に0.6であった.(4)体格,FCM,効率指数間の表型,遺伝両相関を求めたが,両係数はかなり近似しており,体重:FCMおよび体高:FCMの両係数ともいずれも0に近く,FCM:効率指数は両相関それぞれ0.9,0.8,FCM/A:Wはそれぞれ-0.35,-0.5,FCM/A:Hはそれぞれ-0.2,-0.3であったがFCMを一定とした偏相関では,それぞれ両相関とも-0.8,-0.6となり,体格の小さい方が効率が一般に高いことになる.しかし効率指数の30%(M+Sに当る)以上の高いものを選ぶとその平均でFCM6533kg,体重583kgで中型め小のものであった.
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