日本畜産学会報
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急速冷却後および長期凍結保存後のマウス胚の生存性
宮本 元石橋 武彦
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1976 年 47 巻 1 号 p. 29-32

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抄録
凍結過程の各温度からマウス胚を液体窒素へ直接浸潰したときの急冷,および種々の温度での凍結保存がマウスの8細胞卵,桑実胚,初期胚盤胞の生存性におよぼす影響について検討してつぎの結果をえた.1. サンプルを-10~-40°Cの各温度から液体窒素へ浸漬して,500°C/分で急冷すると胚は死滅した.しかし-50~-79°Cの各温度から液体窒素へ浸漬すると,8細胞卵,桑実胚および初期胚盤胞のいずれも生存性を維持できた.-50, -60, -70および-79°Cのうちどの温度から液体窒素へ浸潰しても,急冷後の胚の生存性に差はみられなかった.2. -196°Cに凍結された8細胞卵を-20, -25および-50°Cのアルコールバスに移してこれらの温度に保存すると,胚はそれぞれ2,4および15時間後に死滅した.3. 緩慢な冷却速度で凍結された8細胞卵,桑実胚および初期胚盤胞は-196°Cに21か月間の凍結保存後も凍結直後と同じ生存性を維持することができた,4. -60°Cまでを緩慢冷却し,-60°Cから液体窒素へ浸漬して急冷された8細胞卵は-196°Cで12か月間の保存後も生存性の低下はみられなかった.
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