日本畜産学会報
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食肉のα-トコフェロールと他成分との関係
山内 清知念 健次大橋 登美男
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1977 年 48 巻 8 号 p. 458-462

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抄録

鶏肉,豚肉,羊肉,牛肉,および馬肉のそれぞれミオグロビン(Mb)量とリン脂質(PL)量の少ない筋肉(白色筋)と,Mb量とPL量の多い筋肉(赤色筋)の両筋肉について,そのα-トコフェロール(α-Toc)量の差異,並びに各肉種のα-Toc量と他成分量との関係を調べた.各肉種とも,白色筋に比較すると赤色筋のα-Toc量(μg/100g wet tissue)が高い値を示した.すなわち,鶏肉では深胸筋に比べて後肢筋,豚肉では背最長筋に比べて大腿二頭筋,羊肉では背最長筋に比べて殿筋,牛肉では背最長筋に比べて大腿四頭筋,および馬肉では背最長筋に比べて殿筋において高いα-Toc量を示した.α-Tocが脂溶性であるにもかかわらず,鶏肉を除く他の肉種ではα-Toc量と脂質量との間に相関を認めなかった.しかし,α-Toc量はMb量とPL量の多い筋肉で高い傾向を示し,肉の種類によってはα-Toc量とMb量あるいはPL量との間に有意の正の相関が認められた.このように,筋組織中のα-Toc量は筋肉の生理的代謝活性と関係しているように推量された.

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© 社団法人日本畜産学会
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