日本畜産学会報
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飼料中への炭酸カルシウム添加がめん羊の消化管内容物中鉄,銅,亜鉛,マンガン濃度に及ぼす影響
矢野 秀雄松井 基川島 良治
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1979 年 50 巻 7 号 p. 465-470

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抄録

6頭の去勢めん羊を2頭ずつ3区に分けて,飼料中カルシゥム含量が0.1,0.6,1.2%である飼料をそれぞれ各区のめん羊に給与した.飼料中のカルシウム水準は炭酸カルシウムの添加により調整し,ポリェチレングリコールをマーカーとして用いた.67日間飼養した後,朝の給餌後2時間目にと殺した.消化管内容物は第1胃,第3胃,第4胃,小腸上部,小腸中部,小腸下部,盲腸,結腸から採取した.小腸上部では消化管内容物乾物中の鉄および銅濃度は飼料中カルシウム濃度の増加により低下した.高カルシウム飼料を与えると第1胃,第3胃,第4胃での消化管内容物中銅濃度は低くなる傾向にあった.高カルシウム飼料をめん羊に長期間給与すると,消化管内への鉄,銅の再排泄は低下するものと考えられた.飼料中への炭酸カルシウム添加により,消化管内容物中亜鉛濃度は,第1胃,第4胃,小腸上部で低下する傾向にあった.結腸での消化管内容物マンガン濃度は,飼料中カルシウム濃度の増加にともない増加する傾向にあり,逆に盲腸,結腸内容物の上澄み液中マンガン濃度は低下した.これらの結果から高カルシウム飼料を反すう動物に給与すると,亜鉛,マンガン代謝にも変化を及ぼすように思われた.

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