日本畜産学会報
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カゼインの第4胃内投与レベルがヤギにおける飼料中窒素および炭水化物の利用性に及ぼす影響
藤原 勉田先 威和夫
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1979 年 50 巻 7 号 p. 471-478

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抄録

第4胃内に投与したカゼインのレベルが,ヤギにおける窒素および炭水化物の利用性にいかなる影響を及ぼすかを検討するため,第1胃および第4胃にフィステルを装着した去勢成雄ヤギ3頭を用いて実験し,次のような結果を得た.1) 蛋白質の見掛けの消化率は,カゼインレベルが10%より20%に増加するにつれて高くなる傾向を示した.なお真の消化率はカゼインレベルにかかわらず96~98%となり,単胃動物のそれとほぼ等しいものであった.また窒素の蓄積量はカゼインレベルの増加により増大した.2) 蛋白質の生物価はカゼインレベルにより変化することなく,その平均値は57%であった.これはラットで得られた結果とよく一致した.3) 窒素出納の結果と血中窒素成分の濃度変化の様子から,塩中尿素態窒素はカゼインレベルとともに増加し,かつその増加率は体内窒素の蓄積量の増加率と比例していた,このことは血中尿素が飼料の第1胃内給与時と同様に,反すう動物の蛋白質代謝において窒素のたくわえとして,栄養的に意義のあることを示している.4) 血漿中総蛋白濃度はカゼインレベルの変動にほとんど影響を受けず,その値は一般的に考えられている範囲内にあった.5) スターチの消化率はカゼインレベルの増加につれて高くなる傾向を示した.また第4胃内に投与されたグルゴースはほぼ完全に吸収された.

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