日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
ヤギの第1胃および第4胃内に給与した飼料の利用性について
藤原 勉古橋 忠和田先 威和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 50 巻 7 号 p. 479-487

詳細
抄録

反芻動物の栄養素利用における第1胃機能の特異性について検討するため,第1胃および第4胃フィステルと気管カニューレを装着した去勢成雄ヤギ3頭を用い,2種類の精製飼料を第1胃および第4胃内に直接投与して,それぞれの場合の飼料の利用性について比較検討し,次のような結果を得た.1) 澱粉の消化率は,コーンスターチ75%を配合した飼料を第1胃内に給与した場合98.6%で,第4胃内に給与した場合は57.0%であり,第4胃以下の消化管における澱粉の消化能力の低いことが確認された.飼料中の澱粉の30%をグルコースで置き換えた飼料を第4胃内に給与した場合には,グルコースは完全に消化管より消失し,また澱粉の消化率は73%に上昇した.2) コーンスターチ75%を配合した飼料を代謝体重kg当たり150kcal第4胃内に給与した場合の熱発生量は,代謝体重kg当たり4.5kcalであったが,それを第1胃内に給与した場合は5.1kcalに増加した.3) 飼料摂取に伴う熱増加は,飼料の第4胃内給与時には代謝エネルギーの約16%,第1胃内給与の場合には27%であった.このことは,第1胃内においてVFA生成が増加し,かつそのエネルギー的利用性の低いことを反映している.4) コーンスターチ75%を配合した飼料を第1胃内あるいは第4胃内に給与しても,血糖値は飼料摂取後ほとんど増加しなかったが,30%グルコースを配合した飼料を第4胃内に給与した場合は増加した.以上の結果から,反芻動物のエネルギー源としてVFAのみならず,グルコースも十分吸収利用さら得ることが明らかになった.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top