日本畜産学会報
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ホルスタイン種乳牛における搾乳性指標の検討
大久保 正彦
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1980 年 51 巻 3 号 p. 178-184

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抄録

搾乳性を表わす最適の指標を明らかにするため,ホルスタイン種乳牛についてバケットミルカーで搾乳を行い,キモグラフを用いて各種搾乳性指標を測定し,得られた指標測定値の変動の様相,指標相互の関連性などを解析した.また乳頭括約筋抵抗の測定を行い,搾乳性との関連を検討した,主な結果は次の通りである.1) 最高搾乳速度,平均搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量は乳量との間に正の相関が認められ,乳量補正をすると搾乳時間との間に高い負の相関が認められた.2分間搾乳率3分間搾乳率は乳量との間に有意な相関を示さず,未補正のまま搾乳時間と負の相関を示した.搾乳時間と乳量との間には個体内のみで正の相関が認められた.2) 乳量補正最高搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量および未補正2分間搾乳率,3分間搾乳率の分散成分割合は個体間割合が最大で,乳量補正平均搾乳速度は個体内分散が大きかった.乳量補正機械本搾り時間(2)(搾乳開始から30秒当り乳量が0.2kg以下になるまでの時間)は個体間分散が大きく,搾乳時間を表わす指標として最適と思われた.3) 搾乳時間との関連性,変動の様相,測定の難易性などからみて,2分間乳量,3分間乳量,2分間搾乳率,3分間搾乳率が搾乳性指標として適当と思われた.4) 吸引法で測定した乳頭搾約筋抵抗は,最高搾乳速度および2分間乳量との間に負の相関をしめした.

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