日本畜産学会報
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日常作業下における乳牛の搾乳性の検討
大久保 正彦
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1980 年 51 巻 3 号 p. 185-191

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抄録

北大農場および農林水産省新冠種畜牧場牛群について,日常作業下で搾乳性の測定を行ない.その変動の様相,指標相互の関連性などについて検討した.日常作業下であるので搾乳前処置,後搾り方法など搾乳方法•条件などは一定ではなかった.新冠種畜牧場では測定方法上の制約から測定項目は限定された.主な結果は次の通りである.1) 搾乳性指標値は前報1)にくらべ劣り,作業方法とくに前処置の影響をうけていると思われた.2) 各指標間の相関はほぼ前報と同じで,最高搾乳速度,平均搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量は乳量との間に正の相関が認められ,乳量補正をすると搾乳時間との間に高い負の相関が認められた.2分間搾乳率,3分間搾乳率は乳量との間に有意な相関をしめさず,未補正のまま搾乳時間と負の相関をしめした.搾乳時間と乳量の間には前報とことなり,個体間のみで正の相関が認められた.3) 北大農場での分散成分割合は前報とほぼ同様で,乳量補正最高搾乳速度,2分間乳量,3分間乳量および未補正2分間搾乳率,3分間搾乳率で個体間分散が最大で,個体間比較に適当と思われた.乳量補正平均搾乳速度では個体内分散が大きかった.新冠種畜牧場では3分間乳量,3分間搾乳率で個体間分散が,平均搾乳率速度で個体内分散が大きく,乳量補正をしても分散成分割合には大きな変化が認められなかった.4) 日常作業下の測定においても,搾乳時間との関連性,変動の様相,測定の難易度からみても2分間乳量,3分間乳量,2分間搾乳率,3分間搾乳率が搾乳性指標として適当と思われた.5) 新冠種畜牧場で測定した乳頭の大きさは,産次の進行とともに大きくなる傾向をしめし,平均搾乳速度と負の相関をしめした.

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