日本畜産学会報
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カゼインの第4胃内投与レベルがヤギの血漿遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響
藤原 勉田先 威和夫
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1980 年 51 巻 5 号 p. 352-359

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抄録

第4胃内に投与したカゼインのレベルがヤギの血漿遊離アミノ酸濃度にいかなる影響を及ぼすかを検討するため,第1胃および第4胃にフィステルを装着した去勢成雄ヤギ3頭を用いて実験し,次の様な結果を得た.1)血漿中の大部分のアミノ酸の濃度は無蛋白質飼料給与の場合に比してカゼイン飼料給与の場合には有意に高くなった.血漿中グリシン濃度は無蛋白質飼料給与の場合にカゼイン飼料給与の場合より有意に高くなった.2) 血漿中総遊離アミノ酸濃度は,飼料中のカゼインレベルが増加するにつれて有意ではないが高くなる傾向を示した.総必須アミノ酸濃度は20%カゼイン飼料給与の場合,10%および15%カゼイン飼料給与の場合よりも有意に高くなった.その結果,非必須アミノ酸濃度に対する必須アミノ酸濃度の割合は,20%カゼイン飼料給与の場合に他の飼料給与の場合に比べて有意に高くなった.3) 必須アミノ酸中の側鎖アミノ酸(バリン,イソロイシン,ロイシン)の濃度は飼料中のカゼインレベルの増加につれて有意に増加した.同様に,総必須アミノ酸中の側鎖アミノ酸の割合も飼料中のカゼインレベルの増加につれて増加した.4) 血漿中グリシン濃度に対するバリンおよび側鎖アミノ酸濃度の比は飼料中のカゼインレベルの増加によって著しく変化した.この事から,これらの比は飼料蛋白質の栄養的な判定の指標となり得ることが示唆された.

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