抄録
脱酸素剤を封入した嫌気包装貯蔵による牛肉の細菌数•菌相および腐敗の程度について,空気包装貯蔵と比較した.嫌気包装試料では,pH植,T.V.B.値の両者とも貯蔵中ほとんど変化しなかった.一方,空気包装試料では,いずれも急激に変化し,貯蔵10日目で初期腐敗に達した.これは開封時の感覚的なにおいの判定とも一致していた.細菌数は嫌気包装試料の方が空気包装試料よりも少なかった.貯蔵開始時の菌相は,グラム陽性菌が85%以上を占めた.10日間貯蔵後の菌相において,嫌気包装試料では,Lactobacillus属が約30%を占め,Pseudomonas属や大腸菌群などのグラム陰性菌は抑制された.一方空気包装試料では,グラム陽性菌が認められず,Pseudomonas属が約40%を占めた.また嫌気包装試料では,脱酸素の速度が速いほど細菌数が少なく,Lactobacillus属が多い傾向を示した.これらの菌相の相違により,嫌気包装試料のpH値およびT.V.B.値が低く推移したものと考えられる.これらの結果脱酸素剤封入による嫌気包装貯蔵は,生肉の棚持寿命を延長させるための有効な手段であることが認められた.