日本畜産学会報
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豚卵胞の顆粒層細胞の走査電子顕微鏡的研究
宮本 元古林 亮介谷井 隆夫石橋 武彦
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1982 年 53 巻 12 号 p. 831-837

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抄録

豚卵胞の顆粒層細胞表面の微細構造を明らかにするために,この実験をおこなった.20頭の未成熟または成熟豚の卵巣から,種々の大きさの正常卵胞とのう腫卵胞を採取した,これらの卵胞を分割した後,2.5%グルタルアルデヒドで固定し,1%オスミウム酸で後固定した.ついで臨界点乾燥後,金のイオンスパッタコーティングをおこない,顆粒層細胞を走査電子顕微鏡で観察した.小卵胞(1~2mm)および中卵胞(3~5mm)の顆粒層細胞の表面は比較的なめらかで,多くの場合微絨毛はみられなかった.これに対して,大卵胞(6~12mm)の顆粒層細胞の表画は一般に多くの微絨毛でおおわれ,とくに卵胞腔に近い細胞でこの傾向がみられた.これらの成績から,顆粒層細胞における微絨毛の出現は,卵胞の発育と関係のあることが推察できる.卵胞の大きさが同じであれば,性成熟および発情周期による顆粒層細胞の表面構造の差はほとんど認められなかった.軽いのう腫卵胞には崩壊した顆粒層細胞が存在し,これらの細胞は少数の微絨毛でおおわれていた.一方,進んだのう腫卵胞では顆粒層細胞が消失し,内層には一般に線維素または膠原線維が観察された.

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