1982 年 53 巻 8 号 p. 559-564
肥育期間中における最長筋肉の脂肪酸組成の変化および分布について知るために,放牧後100日間(3頭)および200日間(4頭)肥育したホルスタイン種去勢牛7頭を供試した.各々の最長筋肉から,(第4,6,8,10および12胸椎と第1,3および第5腰椎)全脂質を抽出し,その脂肪酸組成について調べた.100日間と200日間肥育した牛の筋肉内の脂肪酸組成は統計的になんら相違は見られなかった.しかしながら,肥育期間中にC 18:0は若干減少し,C 18:1は若干増加の様子が観察された.第4,6,8および10胸椎の最長筋は第12胸椎と第1,および腰椎のそれと比較すると,C 16:0とC 18:0が多く,C 16:1,C 18:1および全不飽和脂肪酸含量が少ないことが見いだされた.この脂肪酸組成の相違は最長筋肉内における成長速度の相違に関連があるものと推定される.