日本畜産学会報
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黒毛和種雌牛の発育様相形質についての遺伝学的性質
和田 康彦西田 朗
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1987 年 58 巻 12 号 p. 1078-1085

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抄録

黒毛和種雌牛の経時的に測定された体重記録にBERTAANFFYの非線形発育モデルをあてはめて発育様相形質を算出し, それらについて統計遺伝学的分析を行なった. データとしては農林水産省宮崎種畜牧場鹿児島支場で1964年から1981年の間に生産, 育成された203頭の黒毛和種雌牛の体重記録を用いた、分散分析の結果, 生れ年の効果はすべての形質で有意性が認められた (P<.05). 母牛日齢への1次回帰も成熟体重を除くすべての形質で有意性が認められた (P<.01). 生れ年内種雄牛の効果は成熟体重と成熟速度で有意性が認められ, 季節の効果は成熟速度で有意性が認められた (P<.01). 生れ年別の最小自乗平均値は成熟体重で年々増加し, 生時成熟度は年とともに減少していた. HENDRRSONの方法3で求めた遺伝率の推定値は成熟体重で. 82±.31, 成熟速度で1.03±.31, 生時成熟度で. 39±.29であった.また, 成熟体重と成熟速度の問の遺伝相関は一.64±.47と推定された. 以上の結果より選抜によって成熟体重を一定に保ちながら成熟速度を改良することは困難であることが示唆された.

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