日本畜産学会報
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北海道の牛群検定における部分泌乳記録の拡張に関する再検討
城内 仁鈴木 三義光本 孝次
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1987 年 58 巻 12 号 p. 997-1003

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抄録

昭和60年度からの北海道における乳牛群検定成績の計算方法の改正に伴い拡張係数を再検討した. また乳量, 乳脂量, 無脂固形分量の部分記録の拡張に対する泌乳レベルごとの記録区分および泌乳ステージの細分化の必要性を検討した. 使用したデータは北海道乳牛検定協会により, 昭和50-59年度までに集積されたホルスタイン種雌牛の305日完全記録から抽出した延べ358, 869頭の泌乳記録を新方式により再計算したものである. 部分記録を拡張する方法は, 現在北海道で使用されている回帰式によるLSP法を改訂したRLSP法と泌乳量減少率あるいは空胎日数を考慮した重回帰式によるDCR法, DPN法で, 各方法は5, 000個のデータをあてはめて平均絶対誤差と予測標準誤差を用いて予測精度を検討した. 1) 拡張係数は泌乳ステージに対し連続的に推移し, 産次, 分娩季節に伴う泌乳パターンと密接に関連することが示唆された. 2) 乳量と無脂固形分量の両拡張係数は近似した値をとり, 乳量の拡張係数を無脂固形分量にも代用し得ることが推察された. 3) 高泌乳記録と全泌乳記録からそれぞれ推定した拡張係数の間には顕著な相違は認められず, 記録区分による予測精度の向上も認められなかった. 4) 3つの推定方法の比較では, 全泌乳ステージを通じて方法間に顕著な相違は認められなかった. しかし泌乳ステージを細分化した本分析のRLSP法は, 現行のLSP法に比較して明らかに推定精度が向上した.

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