日本畜産学会報
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絶食条件下のヒツジにおけるアミノ酸からの糖新生に対するグルココルチコイドの役割
浜田 久佐々木 義之
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1987 年 58 巻 12 号 p. 1004-1010

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抄録

絶食条件下の反芻動物におけるアミノ酸からの糖新生に対するグルココルチコイド (GC) の役割について, ヒツジを用いて検討した. まず, 組織から血液中へのアミノ酸動員に対するGCの効果を明らかにするために, 副腎摘出 (ADX) 前後における血中アミノ酸の変化を絶食条件下で比較してみた. つぎに, 絶食条件下において正常群およびADX群に糖原性アミノ酸の一つであるアラニンを投与し, 肝臓や腎臓におけるアラニンからの糖新生に対して, GCがどのように関与しているかについて検索した. 1) ADX前では絶食しても, 血中総遊離アミノ酸は変化しなかった. 一方, ADX後絶食によって低血糖症状を示した時期には, 血中総遊離アミノ酸は約30%減少した. 2) セリン, スレオニン, バリン, グルタメイト, イソロイシンならびにロイシンの7種の各アミノ酸もADX後絶食によって明らかに減少した. 3) ADX群では絶食時にアラニンを投与すると, 血糖値が前値25±4mg/100mlから投与3時間後に41±3mg/100mlにまで上昇し, その後8時間この水準に維持された. ADX群における血糖の増加率は正常群に匹敵するものであった. 4) 以上の結果から, グルココルチコイドはアミノ酸からの糖新生に至る過程では, 組織から血液中へのアミノ酸動員の段階に深く関与するものと考えられる.

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