日本畜産学会報
Online ISSN : 1880-8255
Print ISSN : 1346-907X
ISSN-L : 1880-8255
ヤギの内上皮小体C細胞の免疫組織化学的研究
土屋 剛
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 59 巻 1 号 p. 49-53

詳細
抄録

C細胞は,哺乳類においては甲状腺中に存在しており,血中のカルシウムを下げるホルモン(カルシトニン)を合成,分泌している.最近,C細胞は甲状腺中の内上皮小体に存在することが経織化学的に,免疫組織化学的に明らかにされているが,ヤギの内上皮小体のC細胞については詳細は不明である.この研究では年齢の異なるヤギを用いて,甲状腺中の内上皮小体および胸縁組織の出現率とその分布を調べ,さらに,これら組織中のC細胞の出現率と分布を免疫組織化学的に調べた.
使用したヤギは子ヤギ8頭と成ヤギ5頭で,内上皮小体および胸腺組織の出現率は連続切片法によって調べた.C細胞の同定にはブタカルシトニン抗体を用い,PAP法による免疫組織反応を行なった.
内上皮小体および胸線組織は甲状腺の中央部の内側を中心に分布していた.内上皮小体は13例中12例に,胸腺組織は13例中2例に認められた.甲状腺中の内上皮小体および胸腺組織の分布と出現率には年齢差は認められなかった。内上皮小体のC細胞は主に周辺部に見られるが,中心部にも存在した内上皮小体のC細胞は12例中9例に認められ,その比率(C細胞/上皮小体細胞)は0.2-0.8%で,年齢差は認められなかった.C細胞は胸腺組織にはみられなかった.

著者関連情報
© 社団法人日本畜産学会
前の記事 次の記事
feedback
Top