日本畜産学会報
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牛の分娩前徴直腸温,心拍数および呼吸数の変化
藤本 泰裕木村 英司澤田 勉石川 全松永 寛森 純一
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1988 年 59 巻 4 号 p. 301-305

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抄録

ホルスタイン種経産牛17頭を用いて,分娩前における直腸温,心拍数および呼吸数の変化を観察し,それらの分娩予知への応用について検討した.直腸温には日内変動が認められ,午前9時に比べ午後4時の値の方が高かった.分娩0-1日前には著しい直腸温の下降が認あられた,直腸温下降の度合いは午前9時よりも午後4時の方が大きく,分娩予知には午後4時の直腸温測定値の方が利用価値が高いものと考えられた.分娩前2日以内の午後の直腸温が39.0deg;C以下に下降したものおよび前日より0.5deg;C以上下降したものは,それぞれ64.7%と47.1%であった.直腸温による分娩予知の基準としては,「39.0deg;C以下への下降」は「前日の値より0.5deg;C以上下降する」ものよりも適中率が高かった.心拍数は分娩0-1日前に著しい増加を示した.しかし,実測値では個体差が大きく,分娩予知には不適当であり,分娩30日前の値に対する比率を用いた場合に,高い適中率が得られた.分娩前2日以内にこの比率が1.3を越えたものは88.2%であった.一方呼吸数では,実測値においても比率においても若干の変化は認められたものの,変動が大きく,分娩予知への利用には不適当と思われた.

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